逡巡

以前のブログにも書いたが、私はアナログ放送の停止と同時にテレビを見るのをやめようと考えていた。先日、ある場所で初めて会ったNHKの人に対しても「テレビはもう見ませんからね。受信料だって金輪際払いませんから。いい気味だワハハハハ。ラジオは聞いてますよ。ラジオ受信料なら払いますけど。え? ラジオ受信料はないの? ケケケケケ」と高笑いしてやった。

ところがこの段階になってその決意がゆらいでいる。話題のドラマやバラエティ番組のとりこになったわけでも、社会人としてニュースから情報を摂取しつづけなければならないと感じたわけでもない。妻が地デジテレビの購入を強硬に主張しているのだ。

「あんたは家に滅多にいないからいいけど、なんで私まで我慢しなければならないのよ」

その主張はごもっともである。妻は最近ネットびたりで、FACEBOOKも始めた。テレビにはもう関心がないだろうと思ったら、意外と見ているらしい。娘が進学して夫婦2人の生活となり、犬が比較的静かな個体で、茶の間の会話が激減したことも影響しているようだ。

「地デジ離婚」すればどこかの場末のニュースサイトが取り上げてくれて2日くらい話題になるかもしれないが、テレビを見ないことへのこだわりにそれほどの価値はないので、このまま地デジ対応のテレビ、またはチューナーやHDDレコーダーを購入することになりそうだ。

問題はその時期である。

家電量販店や通販業者は駆け込み需要を見越して地デジテレビの拡販を強化している。自動車税も会合への出欠の手紙も、振り返れば学生時代のレポートも、最近では仕事上の提出物だって締め切りぎりぎりに提出する私としては、アナログ放送中止直前となったこの時期に地デジ商品を買いに行き、親切そうな笑顔を浮かべた店員が仮面の下で、「こいつは自動車税も会合への出欠の手紙も、学生時代のレポートも、仕事の提出物も期限ぎりぎりに提出するような奴なんだろな」と妄想をふくらませるのが我慢ならない。

いま妻が見ているテレビ画面の左下には「アナログ放送終了まであと16日」と表示されている。ワイプ画面の中のみのもんたの顔と同じくらいの大きさの「16」を見て思う。一言「そろそろ地デジテレビを買ってくれませんか」というような依頼文があってもいいのではないか。私が気がつかなかっただけかもしれないが、テレビが繰り返しているのはアナログ放送終了についての警告だけであって、地デジのテレビを買ってくださいなというお願いのニュアンスは含まれていない。アナログ放送で何ら不便はなく、逆に地デジ化で不便や出費を強いられる方としては、残り日数の提示で危機感をあおられて地デジ対応を強いられることに納得がいかない。竹内香苗さんに謝って欲しい。

(いま、竹内アナが地デジ推進大使だったか確認するためにネットで検索したら、テツandトモが「地デジ芸人」に任命されていたことがわかった。まれに見かけるテツandトモを、一時の爆発的なブームで自分たちを見失うことなく、地道にテレビの世界で生き続けているアナログ芸人と私の中では高く評価していただけに、この寝返りは痛い。テツandトモにもついでに謝ってほしい。こらギターで伴奏するなよ。)

私は家庭内の事情で地デジ対応を迫られそうだが、これをきっかけにテレビとさよならしようと決めている人は依然として多いと思う。そういう人に有効なのは、カウントダウンではない。テレビがどんなに楽しいのか、テレビのない生活がどれだけ味気ないのかを強調する手法のほうが有効だろう。私の場合、トムとジェリー、ムー、勇者ライディーン、欽ドン!……。かつて、ブラウン管にどれだけ見入っていたかを思い出させる番組を連続放送すれば、これからも茶の間の真ん中にテレビが必要だという気持ちになる。

いま、茶の間のテレビには「小森純、結婚」の芸能ニュースが映しだされている。やっぱり、地デジ対応やめようかな。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中