靴底

 加齢とともに寒さに弱くなっているが、くるぶしから下の足だけは暑さに敏感になっているような気がする。数年前から革靴を履いて外出する機会の多い仕事に就いているからかもしれない。それ以前は裸足で外出していたのではなく、外出せず電話やメールで要件を済ませることが多かった。

 車を運転しているときなど、とくに足の先が暑くなってイライラする。そこで1ヶ月ほど前、靴屋で見つけた「クールビズ・ビジネスシューズ」を買った。カタカナ、ナカグロを含めて14文字。「底に穴が開いている靴」と日本語で説明したほうが4文字も短く、わかりやすい。

 穴が開いているといっても靴底から足の裏全体が見えるのではなく(その状況だと靴下も履いていないか、または靴下の足裏部分にも巨大な穴が開いているわけだが)、靴底数カ所に厚いゴムの代わりに網が貼られていて、靴の裏側からも空気が靴内部に出入りするようになっている。効果は絶大で、この靴を履くようになってからは、昨年までの夏のようにイライラするほどの足の暑さを感じたことが一度もない。

 欠点もある。当然といえば当然だが、雨が降ると途端に靴の中に水が染みこんでくる。水たまりを避けて歩いても、出入りする空気とともに細かい水の粒子も吸い込んでしまうのか、いつの間にか靴下が濡れている。

 多少の雨なら気にせずに傘をささずに歩くし、車社会のこのまちでは屋根から車までの間しか濡れなくて済むので、私には朝の天気予報でその日の空模様を確認するという習慣がない。今日も何も考えずに穴あき底の靴(さらに簡潔化して6文字)で会社に来たら、1時間後に外出するときには雨が降っていた。会社から客先へと移動、会社に戻ってくるころにはびしょびしょになっていた。

 身体的な不快はたくさんあるが、2011年、私調べによれば、靴の中が濡れたときの不快感は非常にレベルが高い。風呂やプールで足の先が水に浸かることには何ら問題がないので、靴の中で足の指が濡れることですべりにくくなり、部分的な自由を奪われるのがイヤなのだと思う。通常の革靴の中で足が熱い感覚もイヤだが、足濡れ感はその上をいく。

 この文章を書いていて気がついた。この靴に潜む最大のリスクは、路上の犬のフンを踏んづけてしまうことだろう。私が犬の散歩をするときにはもちろんビニール袋持参だが、道端でフンをさせてそのまま放置しておく飼い主はけっこういる。普通の靴でも困るのに、穴あき底でフンを踏んでしまったら、靴を捨てるしかなさそうだ。次の燃えないゴミの回収日は最大で2週間先。それまで正気を保てるかどうか。

 なぜ穴あき底の靴がもっと普及しないのか疑問だったが、少しわかってきた。空模様と路上のフン。どちらか一方ならともかく、両方とも気にしていたのでは、危なっかしくてしょうがない。

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