半田

2年ほど前に買ったNECの中古パソコンが、それから1年くらい経って調子が悪くなった。電源を入れてもBIOSに入らず、そのまま30分くらい放置してから再起動するとWindowsがようやく立ち上がる。不便だが、妻が毎日使っているので修理に出せなかった。

妻が長期帰省することになり、私がそのパソコンを近所の修理店/中古パソコン販売店に持ちこんだ。50代くらいの店員は症状を一通り聞いたあと、パソコンのケースを開いて言った。「ああ、これはだめですね」。店員の指さした先で、2つのコンデンサーの頭の部分が膨らんでいた。内部がダメになっているらしい。この店では、コンデンサーの交換はしていないという。マザーボードを交換しても電源やケースにぴったり合うかどうかわからないし、マザーボードを交換すればOSも新たに買わないといけないという。

帰って別のパソコンを使ってネットで検索してみた。いまから10年ほど前、台湾のあるメーカーが粗悪な電解コンデンサー用の液体を製造した時期があり、安価な電解コンデンサーは設計上の寿命よりもかなり早く破裂してしまうということを、初めて知った。クルマにしてもデジカメにしてもパソコンソフトにしても、故障の状況はわかっても、ほとんどの場合、その原因については修理する人の説明を鵜呑みにするしかない。このパソコンは故障の原因となっている場所が目で見てわかるだけに、なんとか部品だけ交換したい。

メモリ、ビデオカード、ハードディスクはこれまでに何度も取り替えたことがある。どれも電子ブロックの部品の抜き差しと大した変わらないレベルで、難しくはない。一方、ハンダごてを使わないければならない電解コンデンサーは、かなり事情が異なる。

私の引き出しには十数年前からハンダごてが入っているが、思えばこの十数年間は敗北の歴史であった。耳の部分がおかしくなったイヤホンとジャックの部分がおかしくなったイヤホンで「ニコイチ」を作ろうとしたが、金属線の部分が細すぎて断念した。完成品がなかったので安物のFMトランスミッターキットを買ったこともあるが、ハンダづけが拙かったからなのか、キットそのものが粗悪品なのか、雑音ばかりで役に立たなかった。

そういえば私の実家の工具専用引き出しにも、私が物心ついたころからハンダごてが入っているが、実際に役立ったことがあったのか疑わしい。我が家のハンダごて分野での惨敗は、数十年というタイムスパンで続いていたのかもしれない。

とはいえ、パソコンを買い替えれば現在と同等品の中古品でも2~3万円。コンデンサーは1個40円か50円。ダメモトで挑戦してみることにした。関連サイトの説明を参考に、壊れた部品と同等品のコンデンサー、余ったハンダの吸い取り用の道具、ちょうどいい出力のハンダごてのキットなどを秋葉原の業者から通販で購入した。

パソコンのケースを開け、ほかのパーツを取り出して、マザーボードを外す。ここまでは昔よくやった。壊れたコンデンサーの足の部分にコテをあてて、ハンダをとかし、吸い取り用の金属製リボンのようなものを押し当てるが、なかなかうまくいかない。コンデンサーの頭の部分を揺らして引き抜こうとしたら、足が金属疲労で折れてしまった。そのうちに、基板のあちこちが赤く染まっていることに気が付いた。基板の裏面に出ているコンデンサーなどの足のとがった部分に指を刺してしまったらしい。無理な姿勢で作業して足腰が疲れたこともあり、この日はここで中断。

飽きやすい性格が災いして、それから1ヵ月半も、パソコンは妻の仕事用の机の上で、ケースのフタも閉じないまま放置してあった。そして昨夜。妻が帰ってくるとの連絡を受けて、急きょ作業を再開。基板に少しだけ残っていた1個目のコンデンサーの足を除去、2個目は1個目よりスムーズに外すことができた。新しいコンデンサーがなかなか固定できずに苦労したが、試行錯誤しているうちに1個目はしっかりとハンダづけすることができた。2個目は取り付け場所の関係で、最後までグラグラしたままだったが、時間切れで作業を終えて、パソコンを元通りにした。

電源を入れると、すんなり立ち上がった。コンデンサー交換は一応成功したということらしい。振り返ると、どこで使っていたのかわからないパソコンケースの部材が2つ、ねじがいくつか残っていたが、土に埋めてしまえば誰にもわからない。

私のような不器用が服を着て歩いているような人間でも、電解コンデンサーの交換はできた。パソコン修理店のおじさんは「うちはそういう部品の交換まではやりません」と言っていたが、同じような症状で使えなくなっている中古パソコンはかなりあるはずで、けっこういい商売になるのではないか。

マザーボードの上には、交換した2個のほかにもたくさんのコンデンサーが並んでいて、実はそのうち1個はやや膨らんでいるようにも見え、すでに同等品を入手している。ハンダごてを使う機会が今後もあるかもしれない。ようやくハンダ付けでリベンジを果たした私としては、修理が一応は成功したこともあり、次の出番が待ち遠しくもある。

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