広告

公共広告機構(AC)のテレビCMが、ようやく減ってきた。制作した人が願ったのとはまた別の意味で注目を集めるようになるはるか前から、私はこれらのCMの大半をよく知っていた。

この1年半ほどAMの深夜放送をMP3形式で録音して、犬の散歩の途中などに聞いているのだが、在京局ならともかく、地方の経済状況では深夜のAM放送に広告がつかないらしく、CMは1/3がラジオ局の番組宣伝、1/3がその局と関係が深そうなCDの宣伝、そして残りがACという状態だった。「こんばんわに おはようさぎ ぽぽぽぽーん」のテレビCMも、音声だけをそのまま使ったラジオCMとして繰り返し聞いていた。子宮頸がんも、オシム監督もそう。金子みすゞの詩を引用したCMだけは、音声がないのでラジオでは聞いたことがなかった。

残念なことに、ACの秀作ラジオCMのなかで、テレビでは放送されていないものがある。

「親切ななにかが入ったつづらとおせっかいななにかが入ったつづら、どっちにしますかって言われたんや」
「で、どないしたん?」
「もうええわと思って、両方もらってきた。あけてみよか? せーの。うわぁ、おせっかいや」
「私には、親切やで」

関西弁がこんな感じだったのかどうか、いまひとつ自信がないが、要は相手に感謝されるかどうかを考えすぎることなく、勇気を出して親切にしようという趣旨だ。親切をおせっかいと解釈する余裕など被災地になく、不謹慎だと批判されるかもしれないという判断で、このCMは流されなかったのか、もともとテレビ版がなかったのかはわからない。

これとは別に、ACではなく、ラジオ局独自の判断で流している公共広告のようだが、「地震が起きたら自分の身の安全を第一に考えて行動してください。車を運転しているなら、徐々に減速して停車し、キーをつけたまま車をおいて避難してください」というものもあった。盗難のおそれを考えたらキーがついたままの車を置いて逃げるというのは現実的ではないのではないか、だいたい、深夜にこんなCMをラジオで流して意味があるんだろうかと疑問に思っていた。多くの人が震災直後の渋滞で動けなくなり、車に乗った状態で津波に巻き込まれたと新聞で知るまでは。

震災から1週間後くらいまでは、テレビやパソコンで情報を得るたびに悪化していく状況に気が滅入ってしまい、その番組自体がニュース番組のために中止されたりしたこともあり、パソコンの中に残っていた過去の放送分を繰り返し聞いていた。そのなかには被災者に対するいたわりの言葉も、原発復旧作業が続いているなかでの「おふざけ」についての罪悪感も、もちろんない。運転中に地震が起きたら車を置いて逃げてくださいと説得するアナウンサーの声も、なんだか現実感に乏しい。震災の発生からまだ1ヵ月も経っていないのに、そんなノンキな日本が懐かしい。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中